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我が家の猫住(獣)民と常連たち 投稿

 我が家の猫集団 – 猫住(獣)民と常連達にまつわる話

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猫屋敷になった経緯その5 - 降って湧いた一匹

バディとホリーが我が家での生活にもすっかり慣れた2010年7月半ばのとある午後、裏庭でドゥーゴルを散歩させていた時のことだった。勝手口の扉が開き同居人が顔を出して「Guess what I've got!」とわめきたてる。奴が片腕に抱えているモノを見て危うくドゥーゴルのリードから手を放しそうになった。そこにはおとなしく同居人の腕にぶら下がっている生後三ヶ月ほどの茶トラ白子猫がいた。「一体何があったんだ」筆者がいぶかしげに訊ねると、同居人はニンマリしながらこう説明した。「さっき通りの突き当たりの家に住んでる小学生の子供がこの猫を連れて来て、(彼の) 家の玄関先でちょろちょろしてるところを捕まえたがこれはあんたのかって訊くからNoと答えたら(子猫を)どうしようかって言うんだ。それで、ひとまずウチで預かって飼い主を探すことにしたのさ。」L(おい、そりゃ無いぜ。冗談だろ…!) 心の中でさんざん悪態をつきながらも筆者は冷静な顔で「どこに隔離させるつもりだ?」と訊ねたのであった。後日迷い猫のビラを作って隣近所の家のポストに入れて回ったり動物病院や公民館に掲示したりして一応の努力はしたが、結局待てど暮らせど飼い主も引き取り手も救いの手も申し出てくることはなかった。こうして忽然と目の前に現れたその子猫は警戒心のかけらも無く誰を恋しがるわけでもなく、あたかも散歩から帰って来た飼い猫であるかのようにそのまま我が家に居ついてしまい現在に至っている。

傍若無人なじゃじゃ猫Ives (アイヴス)
アイヴス推定生年月日: 2010年4月。近所の子供が発見し持て余して我が家に持ち込んだ短毛で白と茶トラの雌猫。どこからどうやって来たのか皆目不明な素性の知れない猫(?)である。近くの家の前庭に迷い込んで来たという話だが、子猫が単独で行動するのは稀なことで、恐らく移動中に母猫とはぐれたか親を亡くしてさ迷っていたかであろう。(状況や周囲の状態から見て件の家の庭先に捨てられたという可能性は極めて低い) 
いきなり未知の場所に連れて来られ怪しげな人間に手渡されたにもかかわらず、ヤツはこの上もなく寛いだ様子で台所の電気コードにじゃれたり食器棚や冷蔵庫の中に頭を突っ込んだりして我々を大いに呆れさせた。アイヴスに名前が与えられたのは保護されてから一ヶ月ほど経った頃だったが、ちょうどイングランドのセント・アイヴス (ケンブリッジ州) に住む身内の誕生パーティへ出かける直前に我が家に転がり込んできたことから Ives と名付けられた。最初は(通例として)他の猫たちから隔離し台所脇の車庫に猫用の寝床をしつらえ給餌もそこで行うことに。幼少の頃の彼女は食欲魔人で、餌箱の音を聞きつけるとどこからともなく台所にすっ飛んで来て足元にまとわり付きこちらがメシを餌場に置く前に目にも止まらぬ速さでそこへ移動し今や遅しと待ち受けるという行動を毎回繰り返していた。特に痩せていた訳ではなかったし、栄養不良で飢えている様子もなかったがアイヴスは四六時中腹を空かした子猫で、約6週間後に他の猫達と一緒にしてからもしばらくメシ時には先住猫たちを蹴散らし真っ先に餌場へやって来て(カラだろうが何だろうが)餌箱に頭をねじ込むのが常であった。
初めて我が家の先住猫たちと対面した時、アイヴスは戦々恐々とする彼らに一瞥をくれただけで後はほとんど見向きもせず、子猫らしく部屋の吟味やボール遊びに精を出していた。茶トラの性格とでも言おうか子猫の習性とでも言おうか恐れを知らず自由気ままでやたら活発、人間に対しては愛想がよく友好的(気まぐれな面もあり)だが猫にはめっぽう強気で荒々しく、メスにもかかわらずがさつで喧嘩っ早く積極果敢な子猫だったため、先住猫達がなれるまでしばしば彼らを恐怖に陥れたものだ。今でも、自分の皿をカラにする前に食事中の他猫の頭に奇襲パンチを食らわせ餌を横取りすることや、ソファの上で寝ている先住猫の耳にいきなりかぶりつき彼らをその場から追っ払うことが時々ある。人にはある程度穏やかに接していたものの、小さい頃のアイヴスはこちらが手を差し出すたびに噛み付いたり引っ掻いたり(まぁこれは仕方ないが)、抱え上げられるとウダウダ文句を言い続けたり、我々の髪やをまるで猫草であるかのように噛んだり、階段を上り下りする人間の足元に絡みついて転落させようとしたり、飼い主の足指や鼻の頭などをしつこいほどなめ回したりと (成猫になってからもそのうちのいくつかを続けている)、他の飼い猫たちに比べひときわ威勢の良い人間好きな跳ねっ返り娘で、テレビの画像や扉の開閉(特に玄関)に好奇心旺盛な子猫でもあった。
「跳ねっ返り」なのは現在でも相変わらずで、早朝だろうが夜中だろうがお構い無しに小太鼓を打ち鳴らすような音を立てて階段を駆け下りるため、こちらが睡眠中の場合にはその騒ぎで叩き起こされる事が少なくない。また、反射光に異常な興味を示し、台所の扉前の暗い廊下隅で息を殺し獲物に狙いをつけた雌ライオンさながらにうずくまり扉が開いて少しでも電灯の光が漏れるとその反射光を前足で叩きながら追いかけるという行為を日課にして毎晩飽きもせずやっている。さらに何度叱咤されても隙を突いて立ち入り禁止の台所や洗面所に滑り込みぐるりと一周してから出て行く習癖があり、数年前の深夜同居人がいつの間にか侵入したアイヴスに気付かず洗面所から出て扉を閉めそのまま就寝してしまったためアイヴスは翌朝まで洗面所内に閉じ込められたのだが、発見された時ヤツはバスマットの上で悠長に眠りこけていた。盗人猛々しいのかオツムが弱いのかそれとも飼い主を小馬鹿にしているのか定かではないがアイヴスは未だに立入禁止令破りを諦める気配は一向に無い。
当猫は暴れん坊ではあるが我々を手こずらせるという事は殆どなく、健康面でも今のところ問題は無い。ただ一度だけ、二年ほど前だったか飯時になっても彼女があまりに昏々と眠り続けているので不審に思い翌日獣医に連れて行ったところ「発熱している」と言われ注射を二本打たれたことがある。原因は不明のままだが、その晩には体に変調をきたしていたのが嘘のように飯を貪り食っていたアイヴスであった。ひひひ
玄関扉が開くと一目散に飛んで来て鼻を突き出そうとするため完全内飼い猫ではあるが万一の場合に備えアイヴスには首輪を装着させている。しかしヤツはそれが不快で仕方ないらしく時折後ろ足を自分の首輪に差し込み横倒しになってもがいていたり、首輪を食いちぎろうとせんばかりに下顎に絡ませ猿ぐつわをかまされたような状態であえいでいたりする。(リードも嫌がる為なかなか散歩に連れ出せない) また他の猫と前足で殴り合いをする際、誤って相手の首輪に爪を引っ掛け外せなくなり固まっていることも稀にあるのでその都度解放してやらなければならないが、おっかない反面(アイヴスには申し訳ないが)笑いがこみ上げてくるのも事実だ。他に見ていて可笑しいのは、窓の外に犬や見知らぬ猫の姿を見つけると逃げ腰または硬直状態の年長猫たちに代わって、太い尻尾をぶんぶん振りながら歯をむき出し威嚇しまくること。あたかも自分は "alpha male" (群れを支配する雄) であるかのごとく振舞うどこまでも豪気な雌猫なのだ。初めは厄介者でしかなかったアイヴスだが徐々に家族の一員として受け入れられ今ではその存在が我が家にとって欠かせないものになりつつあると言っても良い。<2014年10月 記>

 

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