セユアイのトリヴィア雑記?!ヨーロッパ辺境の英語圏で猫に囲まれラグビー観戦
旅行中または前後に出くわしたトラブル 〔旅のインシデント〕
幻影酒場
多大な時間と労力をかけた末に飲み損ねた悔しい話三つ。
ウィーンのビアホール
１９９７年３月、オーストリアのウィーンでのこと。中心部にある普段は学生用寄宿舎、休暇中は旅行者用ホステルとして利用される宿に滞在した際、数人の旅行者仲間と知り合いになった。その中には自分と同じようにザルツブルグ観光の後ウィーンに移動して来た者が何人かおり、ある夜ザルツブルグの話で座が賑わい始める。やがて、かの地でのビアホール体験がこの上なく愉快なものだったのでウィーンのビアホールも試さぬわけにはいくまい、ということになり(その旅仲間の一人が持っていた)ガイドブックの中から特に評判の良い所を一つ選び出して翌日の晩ホステルを後に。目指すビアホールは街の中心から少し離れてはいたものの案内書の描写がえらく印象的で大いに期待が膨らむ。路面電車とバスを乗り継ぎ、途中プラーター公園の夜景に浮かんだ往年の映画「第三の男」に登場する大観覧車を見つけて妙な感慨に浸りながらファヴォリーテン区へと向かった。バスを降りて２０分強歩くと薄暗く閑散とした通りの果てに高い塀を隔てて消灯状態の提灯電飾が巻き付けられた木々が見えてくる。うーむ、あそこが目的のビアホールなんだろうか。周りを見渡しても他に商売屋らしきものはない。件の塀際まで行き中への入り口を探したがどうしても見つからず、通行人に尋ねようにも辺りには人っ子一人おらず。ガイドブックの情報ではこの日この時間は営業中のはずなんだが…。諦めきれず我々はしばらくそこらをウロウロした後、結局渇いた喉と空きっ腹を抱えながらすごすごと引き返したのだった。(ついでに言うと、連れの一人は悔し紛れに例の塀に小便をひっかけて余計脱水状態になっていたようだ。
) 後で思ったが、恐らくあのガイドブックは最新版ではなかったのだろうな。それにしても情報を確かめずに行動するとは我々揃いも揃って浅はかだった。
香港の飲み屋街
比較的最近(!?)の話。２０１０年５月里帰りのため日本へ向かう途中、香港でストップオーバーした。香港島中心市街地から幾分離れた西側(西環地区)に位置する宿をとったため観光地巡りには主に路面電車を利用。その日も古びた二階建て車両に乗ってあちこち見物しまわった後、夕方ホテルに戻り近くの中華料理屋で晩飯を摂る。北京ダックと地元の瓶ビールを味わいながら今夜はまともな酒(とりわけ生ビール)が飲める店を見つけねばと考え、持参したネット情報の印刷物と最新版のガイド・ブックに目を通した。蘭桂坊(ランカイフォン)は楽しそうだがあまりにも定番過ぎて面白味に欠けるし、落ち着いて酒を飲めそうにない。さらに情報を漁っていると｢香港の新名所、西湾河(サイワンホー)海辺の飲み屋街｣というのに出くわした。いやあ、これは期待出来そうだ。食後早々路面電車に乗り込み西湾河を目指す。だが、その時点では目的地までの距離を考えもせず、いつまで経ってもそれと思しき場所に行き着く気配がないことに若干焦りを感じながらトラムに揺られること１時間半(ほどだったと思う)、意を決してある電停/停留所で山勘下車。そこから手持ちの大まかな地図を頼りに散々歩き回り、どうにか湾の見える所まで辿り着くものの目当ての通りは影も形もない。周辺を迷い歩くうちにバーだか飯屋だか商店だかが何軒か立ち並ぶ一角に行き当たったがなぜかどこも閉まっている。暑いし疲れたし夜も遅いし、それからしばらく思案に暮れた後とうとう筆者は無念さをこらえて飲み屋街探しを断念し尻尾を巻いて帰途についたのであった。
遅(後?)知恵ながら、後刻ホテルの受付係やバス及び路面電車の乗客等に尋ねてみたが｢まだ開業前だ｣とか｢地名が間違っている｣などと言われ結局その飲み屋街情報の真偽は分からず終いで翌日の晩には香港を発った。
リガのホテル・バー
この話は酒場探しがない点で前述の二つとは若干異なる。
２００７年のある日、夏の短期休暇はバルト二国(リガとタリンのみ)旅行でもするかと思い立ち８月末のリガ(ラトヴィア)行き便を予約した。出立当日は勤務を終えたその足でダブリン空港へ向かうものの金曜夕方の混雑の影響で空港に着いたのは搭乗終了時間ぎりぎり。出発前に一杯やる暇もなく、搭乗口へ直行しほぼ満員の飛行機に乗り込んだ。離陸後の機内サービスが始まるとまずはサンドイッチとワインを購入し空腹感を緩和させる。そのうち何やら機内がえらく活気づいてきた。そう言えば搭乗の際北アイルランド代表のレプリカジャージを着た団体を見かけたが、いつ何の代表試合があるんだろうか...？それにしてもやけに騒がしいななどと思いながらワインを飲み終え、さてお次は本命のビールをという事でワゴンが戻ってくるのを待ち構えるも一向に気配なし。かれこれ一時間近く経ってようやく客室乗務員が現れたので意気込んでビールを注文したところ、あろうことか品切れだと言う。ならばウィスキーで我慢しようと口を開きかけるや否やその乗務員は可笑しそうな口調で「北アイルランドのフットボール・サポーター達が飲み尽くしてしまったのでアルコール類はもう一切ない」とぬかすではないか。
『何だって⁉そりゃないぜ...本当かよ、全く…』
特定の客に酒を売り切るとはさすがラ◯◯◯エアー(航空会社の名)である。最初にまとめ買いをしておけば良かったと悔やみつつも、その夜宿泊するホテルのバーがかなり遅く(深夜１時頃)まで開いているのを思い出し気を取り直す。２３時前にリガ国際空港の到着ロビーに出て空港バスの乗り場へ向かう。出口脇の小さなカフェバーで酒を楽しむ人々が目に入ったが宿に着いてからゆっくり飲もうと考え素通りした。目的地までの所要時間は約４０分。バスを降りたところ(旧市街の目の前)から宿までは徒歩で１０分そこそこの距離だったものの、薄明るい街灯に照らされただけの辺り一帯の何やら物騒な雰囲気(真夜中のためか無人だったが)に縮み上がり宿泊先に向かって半力疾走。息急いてホテルに駆け込み、チェック・インの後バーはどこかと尋ねると、まだ午前０時を回ったばかりにもかかわらず「客がいなかったのでつい今しがた早仕舞いしたところだ」という答えが返ってきた。
『こんちくしょう！またやられた…！！
（そもそも営業していたのかも疑わしいぜ）』
がっくり肩を落として客室まで行き荷物を置くと口と喉の強烈な乾きが襲ってくる。しかし、室内を見回して頭の中が真っ白になった。何と部屋には冷蔵庫(ミニバー)どころか湯沸かしポットもないではないか(ルームサービスなんぞ論外)。もっと前に水物を買っておけば良かったとまたもや後悔しながら、その時はやむを得ず苦し紛れに洗面所の水を少量飲んで渇きを癒すしかなかった。翌日、朝食の時間が始まると直ちに食事室へ急行し水とオレンジジュースをがぶ飲みしたのは言うまでもない。
かくの如き経験は他にも山ほどあるが、特に癪に障ったものを挙げてみた。
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