『ヨーロピアン・ラグビー』 欧州ラグビー・ユニオンについて
今回の話題は「秋の国際試合 (Autumn Internationals) 」。
Autumn International Series - The end of year rugby tests
2013年10月20日
ヨーロッパにおける秋の国際試合(年末のラグビー・ユニオン・テスト・マッチ)は毎年11月から12月初めにかけザ・ラグビー・チャンピオンシップ参加国や北アメリカ、太平洋諸国の代表チームを招いて行われる。(ワールド・カップのある年は変則的。) 夏の海外遠征のほぼ逆と言ってもよい。つまり上記のチームによる欧州への遠征である。通常、シックス・ネイションズ参加代表チームが南半球の強豪3カ国(とアルゼンチン)及び太平洋諸国の代表チームを相手にそれぞれ3つあるいは4つのテスト・マッチ(または”ノン・キャップ試合”) を戦うが、時としてクラブや”A”チームと遠征軍による対戦も行われる。ホスト国(ホーム・ネイションズならびにフランス、イタリア代表チーム)の対戦相手は全試合とも異なるのが普通。
今年(2013年)はフランス、アイルランド、イタリアそしてUKで合計19の代表チームによる試合が予定されている。日程は次の通り。
11月2日 | イングランド vs オーストラリア | トウィッケナム | |
11月9日 | イングランド vs アルゼンチン | トウィッケナム | |
スコットランド vs 日本 | マレーフィールド | ||
イタリア vs オーストラリア | スタディオ・オリンピコ | ||
アイルランド vs サモア | アヴィバ・スタジアム | ||
ウェールズ vs 南アフリカ | ミレニアム・スタジアム | ||
フランス vs ニュージーランド | スタッド・ドゥ・フランス | ||
11月16日 | イングランド vs ニュージーランド | トウィッケナム | |
イタリア vs フィジー | スタディオ・ジョヴァンニ・ツィーニ | ||
アイルランド vs オーストラリア | アヴィバ・スタジアム | ||
ウェールズ vs アルゼンチン | ミレニアム・スタジアム | ||
フランス vs トンガ | スタッド Océane ルアーブル | ||
11月17日 | スコットランド vs 南アフリカ | マレーフィールド | |
11月22日 | ウェールズ vs トンガ | ミレニアム・スタジアム | |
11月23日 | スコットランド vs オーストラリア | マレーフィールド | |
イタリア vs アルゼンチン | オリンピック・スタジアム | ||
フランス vs 南アフリカ | スタッド・ドゥ・フランス | ||
11月24日 | アイルランド vs ニュージーランド | アヴィバ・スタジアム | |
11月30日 | ウェールズ vs オーストラリア | ミレニアム・スタジアム |
全ての国際試合はIRB(国際ラグビー評議会または国際ラグビー・ボード)によって組織/主催され組み合わせは毎回多少異なるが、シックス・ネイションズ参加チーム(イングランド、フランス、アイルランド、イタリア、スコットランド、ウェールズ)は毎年南半球の強豪3カ国(豪州、南ア、NZ)のうち2チーム或いは3チーム全部と対戦する。また、組み合わせにより勝者にTrophée des Bicentenaires (200周年記念トロフィー) 等のトロフィー(または優勝カップ)や賞が与えられる。下記は主なトロフィー/カップ名と受賞対象チーム。
Trophée des Bicentenaires (二百周年記念トロフィー) |
フランス代表とオーストラリア代表の間で競われる | |
Cook Cup (クック・カップ) | イングランド代表とオーストラリア代表の間で競われる | |
Hopetoun Cup (ホープトーン・カップ) | スコットランド代表とオーストラリア代表の間で競われる | |
Lansdowne Cup (ランズダウン・カップ) | オーストラリア代表とアイルランド代表の間で競われる | |
James Bevan Trophy (ジェームズ・ベバン・トロフィー) |
ウェールズ代表とオーストラリア代表の間で競われる | |
Dave Gallaher Trophy (デイブ・ギャラハー・トロフィー) |
ニュージーランド代表とフランス代表の間で競われる | |
Hillary Shield (ヒラリー・シールド/盾) | ニュージーランド代表とイングランド代表の間で競われる | |
Prince William Cup (ウィリアム王子カップ) | ウェールズ代表と南アフリカ代表の間で競われる | |
The Admiral William Brown Cup
/ La Copa Almirante Brown (ウィリアム・ブラウン提督カップ) |
アイルランド代表とアルゼンチン代表の間で競われる | |
Investec Challenge Cup (インベステック・チャレンジ・カップ) |
イングランド代表とアルゼンチン代表の間で競われる |
一ヶ月間ラグビー三昧の週末になるかと思いきや、ここでファンにとって一つ都合の悪いことがある。UKとアイルランドで行われる試合の多くは (同日)ほぼ同時刻に開始される(又はかち合う)ため、どれか一つしかライブ観戦できない。その上ローカル放送でしか観られない試合が結構ある。よって、今回は非常に残念だがスコットランド対日本を観戦することはできないだろう。
日本と言えば、この11月は代表チームにとって最も忙しい時期となる。11月2日に東京でニュージーランドと対戦後、欧州遠征でスコットランド (11月9日: テスト・マッチ)、グロスター・ラグビー (11月12日: ノン・キャップ試合)、ロシア (11月15日: テスト・マッチ)、スペイン (11月23日: テスト・マッチ)の4チームと試合を行う。一ヶ月で5つの国際試合を、それも主に海外遠征でこなすのは並大抵のことではないが2015年イングランド大会だけでなく、日本で開催される2019年のワールド・カップに向けて厳しい強化練成過程が必要なのだと思う。
ところで、代表スクワッドのプレイヤー達が国際試合にかり出されている間、ラボダイレクト・プロ12のチームはウェールズの4チームを除き三週間の休み (中断期間) を取るが、アヴィバ・プレミアシップのクラブとウェールズの4チームはLVカップ (”アングロ‐ウェルシュ・カップ”) のプール戦のため息つく暇もない。(イングランドのクラブとウェールズのチームに所属する) 代表スクワッドのメンバー以外のプレイヤー達とクラブ/チームにとってこの時期はシーズン前半の踏ん張りどころだと言えよう。