Head image on the left
From Dublin
books
four cats
Trees
Rugby Ball
欧州《ヨーロッパ》のラグビー 投稿

 『ヨーロピアン・ラグビー』 欧州ラグビー・ユニオンについて

division

さて、今日は「シックス・ネイションズこぼれ話」を少しばかり。

Six Nations: The Tournament Snippets

2014年3月20日
最後まで余談を許さなかった今季のシックス・ネイションズ(6カ国対抗戦)覇権争いが6週間にわたる熱戦の幕を閉じたばかりだが、今日はシックス・ネイションズに関する過去のちょっとしたこぼれ話をいくつか紹介。

~ フランスの除外と復帰

1910年にフランスが正式に加わりチャンピオンシップは「ファイブ・ネイションズ(5か国対抗)」と改名されたが1931年の大会直後、管理上の欠陥とフランス国内のクラブ・マッチにおいてプレイヤーらに報酬を支払った(ラグビー・ユニオンは1995年まで公式にアマチュア・スポーツだった)という疑惑から、フランスは翌年の大会から除外されてしまった。当時ラグビー・ユニオンはアマチュア主義を前面に掲げ、プロ主義というのは殆ど犯罪だと考えていた為である。フランスは他のIRB (International Rugby Board) メンバー国との対戦を禁止され、フランスのプレーヤー達の多くは別の選択肢としてラグビー・リーグへの転向を余儀なくされた。第二次世界大戦による中断の後、競技会が再開された1947年にフランスは復帰を許され、大会は「ファイブ・ネイションズ」として改めてスタートした。

~ ウェールズとスコットランドがアイルランド戦を取り消す

1972年の「ファイブ・ネイションズ」チャンピオンシップはアイルランドvsスコットランド戦とアイルランドvsウェールズ戦の二試合が中止された為、優勝チームの決まらぬまま大会は終了となってしまった。その年は「血の日曜日事件」の発生などにより北アイルランド紛争激化の真っ只中であり、スコットランドとウェールズのプレイヤー達(彼らの何人かはUK軍人だった)の安全への懸念から、両チームはダブリンでの試合を拒否したのであった。噂によればIRAからプレイヤーら宛てに脅迫状が送られたらしいが、そのことは十分に証明されていない。試合数の欠如を埋めるためアイルランド代表は4月末ダブリンでフランス代表と親善試合を行った。

~ イングランド・スクワッドに総立ちの大喝采

翌年の1973年も前年と同じく身を脅かすような状況下であったにもかかわらず、イングランド代表はアイルランドとの対戦を実現させるべくダブリンにやって来た。当時アイルランドのラグビーは財政的にも精神的にも不安定で、イングランドがその年ダブリンでの試合をキャンセルする事は彼ら(アイルランド)にとって壊滅的な打撃になり得たため、イングランドの決断はアイルランドのラグビー・ファン達から大いに感謝された。イングランド・チームがランズダウン・ロードのグラウンドに姿を現した際、スタンドの観衆は総立ちになり5分間にも及ぶ大喝采("スタンディング・オベーション")が巻き起こった。試合後の夕食の席でイングランド代表のスキッパー(John Pullin)が "Well, we might not be any good but at least we turned up." 「俺達はからっきしダメだったかもしれないが少なくとも逃げなかった」と口にしたことは今でも語り草になっている。

~ 全チームで優勝を分ける

1973年は最終順位表においても特異な年であった。5チーム全部がそれぞれ本拠地での二試合に勝ち遠征二試合で敗れたため、歴史に残る "five-way tie" (5カ国による選手権制覇) という結果に終わった。当時はタイ・ブレイカーとなる得失点差などの方式/ルールが無く、全チームが勝ち点4を挙げ覇権を5カ国で分け合うかたちとなったのである。現在のような得失点差方式が採用されたのは1994年の大会からで、ファイブ・ネイションズ選手権史上5チームがタイで終わったのはこの一回のみ。

~ 口蹄疫(foot-and-mouth disease)の影響

2001年のシックス・ネイションズは"史上最長期間"にわたって開催された。その年の選手権は当初2月3日に始まり4月8日には終了する予定だったが、UKにおける家畜伝染病「口蹄疫」の発生によりスコットランド対アイルランド戦、ウェールズ対アイルランド戦、アイルランド対イングランド戦の三試合がプロ・リーグの翌シーズン開始(同年9月)まで延期された為である。UKでの感染発生に対してアイルランド政府がUKとアイルランド間の渡航制限やスポーツ行事の取り消しなどの強硬策をとった結果だった。先送りされたアイルランド戦三試合は9月末から10月にかけて行われた。何と通常の5倍以上もの時間(9ヶ月)をかけてシックス・ネイションズ選手権の勝者が決せられたことになるひひひ

数えるほどしかなく何とも恐縮だが、試合や記録自体に関連する事柄となると書き切れないほどあるので紹介を控えさせていただいた。他にも何か面白そうな話があればまた別の機会にでも。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ  

 

△このページの先頭へ戻る

 

 

Left footer
Right footer