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アイルランドの郷土料理について

 アイルランド各地の郷土料理を紹介!

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Potato Frenzy

アイルランドの人々の主食はジャガイモ。食材や料理の種類は日本に比べて少ないような気がするが、ジャガイモ料理のバラエティの豊かさには特筆すべきものがある。ロースト・ポテト、マッシュポテト、ポテト・スープ(及びシチュー)をはじめとしてピザ、サンドイッチ、パンケーキ、オムレツなどにジャガイモが主要材料として幅広く使用されている。
アイリッシュ・ジョークにこんなものがあるが、ご存知だろうか。
Q: Why did God give the Irish potatoes, and the Arabs oil?
A: Coz the Irish had first choice.

本来なら「アイルランド人がいかに愚かな民族であるか」ウインク という意味合いのジョークだが、一方で「アイルランド人がいかにジャガイモに執着しているかジャガイモ好きであるか」という意も含むと思う。 
詳しい調理方法は省略させていただくが、下記の6品のうち4つはジャガイモを使った料理である。各料理について、うまいか、うまくないかはご想像にお任せする。

Bacon and Cabbage

ベーコンとキャベツその名の通りベーコンとキャベツが材料の料理。塩漬け・くんせいベーコンの塊を大鍋で時間をかけて煮込み、キャベツを加えて(または別に)ゆでるだけの簡単なもの。使うベーコンによって塩分がきつ過ぎる場合もある。パセリの入ったホワイト・ソース付きでマッシュポテトや茹でたジャガイモと一緒に出される。
70年代の頃、市街地にあった或るホテル・レストランの前でGAAの試合観戦の為ダブリンにやって来た地方の人々が"Bacon and cabbage"目当てに長蛇の列を作っていたとか。この国の代表的な田舎料理である。

Coddle

ダブリン・コドル別名ダブリン・コドル(Dublin Coddle)。言うまでもないが主にダブリンで食される料理で、ポーク・ソーセージ、バック・ベーコン、たまねぎ、ジャガイモ、大麦、パセリなどが使用されている。これも作り方は簡単でポーク・ソーセージとバック・ベーコンを熱湯でしばらく茹で、キャセロール(ふた付きの厚手鍋)に移して他の材料とともにソーセージとベーコンの茹で汁で野菜、大麦がちょうどいい軟らかさになるまで煮るだけである。実は(コドルの)焼き目の無いソーセージを嫌がるダブリナーズも結構いる。
ソーセージはハーブと香辛料を含んだグニャグニャのアイリッシュ・(生)ポーク・ソーセージである事が必須。私の家族がダブリンで初めてこの料理を食べた時「学校給食の様な味だがマズくない。」と言っていた。ははは

Boxty

ボクスティボクスティはジャガイモのパンケーキである。これも田舎料理の一つ。薄くすりおろした生のジャガイモ(ボクスティの主要な材料)およびマッシュポテトに小麦粉、重曹、バターミルク、卵などを混ぜて鉄板で焼いたもの。団子状にして茹でたりもする。その場合でも一般的にバターで焼いてから食す。
アイルランド北部の料理だが、ダブリン市内中心部のテンプル・バーにボクスティで有名な店がある。伝統的にはアイリッシュ・ブレックファストの一品であったが、最近では肉やチーズ、魚、野菜などを包んで食べる事が多い。Boxty の名前は「救貧院のパン」という意味のアイルランド語 'aran bocht tí'(または'bacstai') に由来する。

Guinness Stew

ギネス・シチューアイリッシュ・シチューにラム肉を使用するのに対して、ギネス・シチューには一般に牛肉を使用する。材料は牛肉の他に玉ねぎ、にんじん、セロリ、カブ(ターニップ)などの野菜で、味付け・風味付けは赤唐辛子、塩、こしょう、ニンニク、トマト・ピューレー、タイム(thyme)、ブラウン・シュガーなど。炒めた肉、野菜にギネスを加えトロミがしっかりついて肉が柔らかくなるまでじっくり煮込む。Bacon and Cabbageと同様、マッシュポテトや茹でたジャガイモと一緒に食べる場合が多い。
パブのメニューなどでよく見かけるが、Guinness stewは伝統料理ではなく、アイリッシュの知人・友人達に言わせると「ギネスは飲むもので、シチューに入れるなんてけしからん」そうだ。

Colcannon

コールカノンケール、キャベツ、玉ねぎ、セイヨウネギなどの野菜入りマッシュポテトがコルカノン(Colcannon)である。牛乳(またはクリーム)、バター、塩、こしょうとともに調理される。ジャガイモを茹でて潰し、ケールまたはキャベツを炒めるか茹でて、温めた牛乳にジャガイモとケール(またはキャベツ)を混ぜ水分が飛びふっくらとするまで火にかける。
ハロウィーンの季節(ケールが旬になる頃)の伝統的な料理として親しまれているが、ハロウィーンに限らずいつでも食される。アメリカではColcannonはセント・パトリックス・デーの料理だという認識があるらしい。まぁ、分からないでもないが。

Chip Butty

チップ・ブティこれはアイルランドの郷土料理('料理'とすら呼べないかもしれない)ではないが、少々珍奇なダイエットなので紹介しておく。
日本でサンドイッチやバーガーに米を挟んだものがある様に、こちらでもパンにチップス(フライドポテト)を挟んだチップ・ブティという代物がある。('ブティ'はアイルランド式発音。) ブティ(butty)とは北イングランドから来た言葉で"bread and butter"の短縮形。Chip buttyはUK発祥で、日本語で言うなら「フライドポテトサンド」といった具合だろうか。
バターを塗った食パンにトマト・ソースまたはブラウン・ソースをかけた熱々のフライドポテトを挟んだもの。この国でもパブやファースト・フード・レストランのメニューなどで時々見かける。

以上、ここに挙げた料理は自分が実際に作るもの或いは作った事があるもののみだが、他にもアイルランドの代表的かつ伝統的な食べ物はいくつかある。アイリッシュ・シチュー (Irish Stew)、チャンプ (Champ)、クルービーンズ (Crubeens)、ブラウン・ソーダ・ブレット (Brown Soda Bread)、スモーク・サーモン (Smoked Salmon)などがそれ。Dried Dulse伝統的な魚料理というのはほとんど無いが、乾した紅藻の一種 (DulseまたはDillisk) をそのまま食べる習慣は一部の人々の間で今も残っている。

機会があればまた他の料理についても紹介しようと思う。

 

 

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